2017年3月27日月曜日

ワーホリでカナダのVFX業界に就職する7つのTips

2016年の春から夏にかけてバンクーバーで就職活動をしていました。最終的に色々な出来事が重なったことや、ワーキングホリデービザの後押しもあり、オファーを貰ってモントリオールに行く事になるのですが、その時の経験から得たTipsをシェアしたいと思います。

2016/04/27:"4.観光ビザ"の項目に就職活動についての項目を追記。
2016/04/27:免責事項をページ下記に追記。


1.夏は仕事が無い

映画やテレビシリーズの撮影は夏の間に行われる事が多く、そのためポストプロダクションであるVFX業界の波としてだいたい4~8月は閑散期となる傾向があります。私がバンクーバーに到着したのは2016年の4/15で、約5ヶ月の間ちょうど仕事が無い時期に来てしまい本当に苦労しました。また2016年の夏は例年と比べても、非常にプロジェクトが少なかったようで、キャリアフェアに参加したり、リクルーターとコンタクトを取っても、帰ってくる答えは「秋以降に募集を開始する」という事ばかりでした。


2. Linkedinでリクルーターをフォローする

意外と知られていませんが、Linkedinは業界人とのつながりだけでなく、各スタジオの採用担当者が積極的に募集要項を投稿しています。実はその募集要項が会社のウェブサイトより情報が新しい場合が多く、どのポジションのどのレベルを今募集している、といったタイムリーな情報が手に入ります。そしてその投稿にリクルーター個人のメールアドレスを載せてる場合は、直接やりとり出来て非常に有利です。私がMPCに就職した時も、この方法でリクルーターに直接連絡を取ったのがきっかけでした。


3. 日本から応募する

カナダに行ってから現地で情報を集めてなんとかしようと計画する日本人はたくさんいると思います。僕もその一人でした。ですが実際には、日本に居ようがカナダに居ようが、就活は必然的にオンラインでのやり取りです。各スタジオのウェブサイトから応募する事になり、HR(Human Resources : 人事部)とのやり取りもEメールです。
現地で開催されるキャリアフェアに行くというのも、もちろん重要なのですが、実際に私の経験ではあまり成果はありませんでした。
ですので、積極的に日本から応募してみましょう。実際私の場合は、バンクーバー出発直前にMPCのリクルーターから返答があったので、そこから色々と先に進展させる事が出来ました。
しかし、現地に住んでいる人を優先的に雇うのも事実なので、レジュメの住所が日本 = “現地に住んでない”という事になると、そこで選考の対象から外れる可能性もあります。逆に言うと現地で就活をする最大のメリットは、実際に現地に住んでいて、準備さえ出来れば明日からでも働けるという状況そのものだと思います。


4. 観光ビザで就活する

2016/04/23 追記:
ワーキングホリデーの申請中、または実際にワークパーミットに切り替える前に就職活動する事は禁止されています。その事をよく留意した上で、自己責任の元で行動してください。

ワーキングホリデーで取得できるワークパーミット(労働許可)は開始日から1年の期限があります。貴重なワークパーミットがどんどん減っていく中で就職活動をするのは非常に過酷です。
観光ビザでカナダに入国し、その後カナダからワーキングホリデーに申し込んでワークパーミットの申請許可さえ貰えれば、観光ビザの有効期限の6ヶ月間(180日)を就職活動に充てる事が出来ます。仕事のオファーを貰ってからビザのステータスを切り替える事で無駄がありません。私の場合は丁度2016年のワーキングホリデーの申請がスタートしてすぐの時期で、書類だけを準備して何もせず、クリーンな状態でカナダに入国して、その後オンラインで申請をしました。当時は運がよく、申請の招待状が届いてからたったの5日で申請許可が降りました。その後のキャリアフェアでも、申請許可のコピーを持参して、いつでもワーホリに切り替えられるという状態をアピールして就活をしていました。

ただし、ワーホリの申請中という状態で観光ビザで入国しようとすると、入国管理官に入国を拒否される恐れがあるので十分気をつけて下さい。また厳密には観光ビザは旅行や短期留学などでの一時滞在が主な目的であり、就職活動をするという事に触れてしまうと必ず別室送りになります。その事を理解した上で、あくまで自己責任で行動して下さい。

ちなみに、バンクーバーでビザを切り替える場合、Point Robertsという場所がおすすめです。公共交通機関だけで国境まで簡単に行く事が出来ます。http://www.oopsweb.com/news/16378


5. デモリールにはベストワークを

デモリールは就職活動の運命を左右する最も重要な要素です。実際に日本の仕事で培ったスキルや経験があっても、目を引くリールが無ければリクルーターの興味を惹きつける事は出来ません。

デモリール作成は骨の折れる作業ですが、以下の3つのルールを基準に考えましょう。

・一番初めに自信作を入れる
・尺は90秒を目安に
・迷ってる物は入れない


絶対に守らなければならない事、それは一番の自信作を冒頭に持ってくる事です。リクルーターやスーパーバイザーは何百の応募を精査するので、もし冒頭の10秒で彼らの心を掴めなければ、それ以降を見てくれるチャンスを逃してしまうかもしれません。

ショットの数が少なくても気にすることはありませんし、仕事で作ったものか自主制作かどうかも関係ありません。数が少なくてもクオリティの高い物が入っていれば、就職出来る可能性は十分にあります。尺が90秒を超える場合は、何か無駄なショットが入っていないかもう一度確認しましょう。

また、入れようかどうしようか迷ってる物がある場合、それはきっとベストワークではありませんので、切り捨てましょう。

出来上がったカッコいい自分のリールに入れるオススメのBGMは、無音です。基本的にVimeo等のリンクをブラウザで再生されるだけなので、貴重な時間を無駄にしないためにも就活用のリールの音楽にこだわるのはやめましょう。


6. リクルーターの返答を期待しない

基本的に、リクルーターは返事を返さない生き物です。向こうが自分に興味のある時はかなり勢い良く連絡をくれますが、必要なければ無視されます。

世界中からの応募を全てやりくりするために、おそらく必要な事なのでしょう。面接までたどり着いても、日本の会社のように、決まった日数以内に合否を知らせてくれる事は絶対にありません。
もし連絡が来なければ、それとなくメールしてみましょう。ただ、手応えがないなと思ったら往々にしてその直感は当たっています。

連絡が来なくてもがっかりする必要はありません。あなたに才能が有る限り、時が来れば必ずまた声がかかる時が来るでしょう。


7. 英語学習は日本から始める

英語に苦手意識を持っている人は多いですが、あまり心配しないで下さい。世界中から才能ある人材が集まるカナダにおいて、英語が母国語では無い事は珍しい事ではありません。もちろん日本人だけが英語が喋れないのではなく、他の国々でも英語を苦手とする人はたくさんいます。

しかし、海外に行けば英語が自然と話せるようになるという神話を少しでも信じている方はその幻想を捨てた方が良いでしょう。

英語を実際に使う機会が増える事で、会話のボキャブラリーが増える事はあるでしょうが、残念ながらそれだけでは自分の思い描いたように英語を喋れるようにはならないでしょう。
第二言語として英語を勉強する人にとって、英語学習は長いプロセスです。一生かかってもあまり上達しないかもしれません。

語学学校はどうでしょうか?ESLと呼ばれる語学学校ではネイティブの先生から授業を受けられて、お友達を作って一緒に観光したりする事で得られる事はたくさんあるでしょう。
しかし、生徒はワーキングホリデーで来た日本人の若い生徒がとても多い事は事実です。生徒の中には基礎もままならないまま授業を受けて、ほとんどの期間を遊んで過ごしてそのまま帰って行く人もいます。そして日本に戻ってから特に英語を使う機会もなく、そのまま英語を忘れていってしまう人も多いでしょう。そして次のシーズンに新しい生徒が日本からやってきます。そうです、語学学校というのは結婚式のように、一生の思い出ビジネスの一つなのです。
例えどんなに良い学校で数ヶ月勉強したとしても、それはとても長い英語学習のプロセスの一部でしか無いのです。

もしあなたが本気で英語を使って仕事をしたいと考えているのなら、今からでも日本で英語を勉強する事を強く勧めます。もし本当に海外に行くだけで語学が上達するのであれば、私のフランス語は日常会話ができる程度に上達していてもおかしくありません。(モントリオールはフランス語圏です)


おわりに

少ないTipsでしたがこれからカナダのVFX業界で就職活動しようと考えている方の苦労が少しでも軽減出来ればと思っています。

※本記事を元にした行動による、いかなる損害・損失において本ブログおよび本記事筆者は一切の責任を負いません。

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